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税務情報
納税通信3675号 vol.3
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所得税 |
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Q3 不当解任に対する賠償金 源泉徴収の必要はあるのか
任期の中途で解任した役員から、不当な解任であることから残りの任期で受け取るはずだった役員報酬を支払うよう求めて提訴され、損害賠償金を支払わなくてはならないという判決を受けました。損害賠償金を支払う際に、源泉徴収を行う必要はありますか?
A3 役員としての職務を果たしていなければ、給与ではなく一時所得となるので不要です。
解任後に支払われる損害賠償金は、給与所得ではなく対価性のない一時所得に該当すると考えられますので、その支払の際にこれを役員報酬(給与所得)として源泉徴収を行う必要はありません。
株式会社の役員は、会社法上株主総会の決議によっていつでも解任することができますので、たとえその解任に正当な理由があると認められず当社が本件損害賠償金を支払うことになったとしても、その解任自体は有効に成立しており、取締役としての身分が遡って回復することにはなりません。
解任されてから任期満了時までの役員報酬の額を基に算出される損害賠償金でも、解任後、役員としての職務を行っていないのであれば、役員としての役務提供の対価である役員報酬には該当しませんので、給与所得ではなく対価性のない一時の所得として一時所得に該当します。したがって、当該損害賠償金の支払いの際、源泉徴収を行う必要はありません。
役員ではなく、従業員の不当解雇が取り消された場合には、解雇時に遡ってその身分が回復し解雇時に遡及して給与が支払われることになりますので、雇用者は支払いにあたって所定の源泉徴収をする必要があります。
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